国策としての原子力

1000年に1回の確率 2011.05.12
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貞観地震で話題になったように「1000年に1度の事態に備えるべきか」と いう問題があります。 当時の原子力安全委員会の委員長は「まれ」だから、考えなくてよい。 まれな事象であるから、きりがない。コストばかりかかるから無視して 差し支えないとしました。
では「1000年に一度」というのは「確率論」的には、実際どれくらいの 数字なのでしょうか。 頻度ベースで考えれば確率は1.3%くらい
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1000年に一回の地震とは頻度からは1/1000=0.1%です。 一方原発は全国で13カ所に分散していますから、13カ所のどこかで起こ る確率は13/1000=1.3%となります。これは「自分の家が火事に なる」くらいの確率です。  999個の白玉と1つの赤玉で赤玉をとる確率は1/1000  987個の白玉と13個の赤玉で、赤玉をとる確率は13/1000 確率的には30年に3%の確率で起こる
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 確率論的には1000年に1回発生する地震の確率は今後30年以内に 3%。あるいは今後50年に5%の確率です。(地震調査研究推進本部;地震 調査委員会計算:ポアソン) 確率3%とは珍しい確率ではない
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 集中豪雨でも1000年に一回の事象は起こっています。また他の事故と 比較すれば「家が火事になる」よりは多くて、「空き巣」と同程度です。 空き巣は毎日日本全国どこでも起こっています。  地震大国日本では、1000年に一度の地震は、そうまれな確率ではない ことになります。また現在13カ所ある、原発の数が増えれば、それだけ どこかが当たる確率は増えます。 リスクが高い地域は確率論的地震動予測地図でわかる(ただし予知は未熟です)
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 3%の発生確率の地図は平成20年(2008年)地震調査研究推進本部 地震調査委員会から「確率論的地震動予測地図」として公開されています。 地図ではそう多くはないが一定の広がりがある
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 震度6強以上になる地域は、静岡県から四国南部までの太平洋側に広く存在 します。この他、四国東部の徳島平野、近畿地方の一部、関東平野の沿岸部の 一部、長野県を縦断する線状の地域、仙台平野、北海道の太平洋岸でも見られ ます。残念ながらそう多くはないが、主に太平洋岸では日本全国どこでも起こ りうる可能性が高い。 原発は「容認できないリスク」であるから止めるべき
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 レベル7の原子炉事故は当然「まれ」だが一旦起これば致命的という特徴が あります。30年で3%という確率はけっこう高いことになります。 リスクマトリックスからは地震大国日本では「容認できないリスク」となる
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 過日ロイドが損害賠償プールで拒絶して話題になりましたが、 この考え方です。
 リスクマトリックスでは、危険度を縦軸に「発生確率」。横軸に「被害度」 をとります。定量的なものではありませんが、目安にはなります。 「発生確率」は地震大国である日本では30年で3%ですから「まれ」で Aランク(最悪をAAランクとして、その下) 「被害度」は一旦起これば、「致命的」ですから「最悪ランク」 「災害が大きいが、いつ来るか分からない」カサンドラ型です。 この型のリスクは、残念ながら「容認できないリスク」になります。 予防原則に従うなら、「安全性の確保できない原発」を止めるのが最善だ ということになります。

参考文献 「1000年に1度」の意味:頻度と確率を混同しちゃダメ!
http://d.hatena.ne.jp/takehiko-i-hayashi/20110404/1301871576 Link
「今年1年間に大地震が起きる確率が1/1000」というモデリングでもよいでし ょうか? 実は、それではダメです。今回の大地震を受けてしばしば「1000年に1度の事 態に備えるべきか」という議論がされています。しかし、たとえ頻度が「1000 年に1回」であったとしても、そのメカニズムを考えれば、今年1年間に大地震 が起こる「確率」は実際には「1/1000」よりもかなり高かったものと考えられ るでしょう。 このような場合には、「頻度ベース」ではなく「確率ベース」で議論したほう がリスクを正確に把握することができます。究極的には生きることはある種の ギャンブルであることを免れえませんが、せめて我々がどのようなギャンブル をしているのかくらいは自覚しておきたいものです。 頻度と確率を混同することは、想定しているよりも分の悪いギャンブルをする ことにも繋がります。「確率=頻度」と短絡することなく、事象が起きるメカ ニズムまで考えるように気をつける必要があります。
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地震大国日本
http://bousai-jishin.com/quake.html Link
地震発生確率 26% 1/100年 3%  1/1000年 自然災害、事故など
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6.8%癌で死亡 3.4%空き巣被害 1.9%火災 0.2%交通事故で死亡
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確率論的地震動予測地図
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/08_yosokuchizu/c1-1.htm Link
今後30年以内に3%の確率とは、平均的に約1000年に1回発生すること に相当します。 震度6強以上になる地域は、静岡県から四国南部までの太平洋側に広く存在 します。この他、四国東部の徳島平野、近畿地方の一部、関東平野の沿岸部の 一部、長野県を縦断する線状の地域、仙台平野、北海道の太平洋岸でも見られ ます。

震度6弱以上になる確率−いろいろな地震による揺れの総合化−
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ある地点で今後30年以内に震度6弱以上になる確率は、いろいろな地震 について「地震が発生する確率×その場所で震度6弱以上になる確率」を 総合的に考慮して求めます。 例として、地点Xにおいて2つの地震A,Bを考えます。 今後30年以内の地震の発生確率…A:40%,B:30% 地震により地点Xが震度6弱以上になる確率…A:60%,B:40% のとき、「30年以内に地震により地点Xで震度6弱以上になる確率」は、 地震Aの場合:0.4×0.6=0.24(24%) 地震Bの場合:0.3×0.4=0.12(12%) となります。このとき、30年以内に地震Aまたは地震Bにより、地点Xで 震度6弱以上になる確率は 1−(1−0.24)×(1−0.12)=0.3312(約33%) となります。確率値の単純な足し算で「24%+12%=36%」とは ならないことに注意が必要です。

地震は予知できるか?
http://www.st.hirosaki-u.ac.jp/~tamao/Hachinohe080510.pdf Link
30 年で3%という確率は,ポアソン過程では1000 年に1回の発生頻度に相 当します。 2004 年新潟県中越地震,2005 年福岡県西方沖地震および2007 年新潟県中越 沖地震は,確率論的地震動予測地図の作成に当たって,固有地震として想定さ れていた地震ではありませんでした。固有地震以外のその他の地震として発生 が想定されていた地震が発生したものと見なされます。

しかし,もし,2004 年新潟県中越地震,2005 年福岡県西方沖地震,あるいは2007 年新潟県中越沖 地震が素性の知れた固有地震として,すなわち,BPT 分布を使った確率の算定 が可能な地震として扱われていたとすればどうでしょうか。それらの地震は確 率論的地震動予測地図に高い確率で表示された場所で発生していたはずです。 このような見方をすれば,最近,震度6 弱以上の強い揺れが確率論的地震動予 測地図で3%以下の低い確率の場所で発生したのは,想定した地震の確率的な 扱いが不十分なために生じた現象と見なすことができます。

したがって,上で, なぜ,確率が3%以下の場所で,最近,立て続けに地震が発生しているのかと いう問題を提起しましたが,その理由は,現在の確率論的地震動予測図には, まだ,このような不十分な点があるからです。地震調査研究推進本部は,確率 論的地震動予測地図の利用に当たって,30 年震度6 弱以上の確率3%以下は決 して安心を示すものではないと説明しています。
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リスクマトリックス
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災害基本想定
http://www.pref.ehime.jp/030kenminkankyou/150kikikanri/00006315050418/2hen.pdf Link

リスクマトリクス AAレベル;1000年に1回 地震動については、確率論的地震動予測地図3「今後50年に5%の確率で見舞 われる震度」を前提とした。これは、平均的に約1000年に1回見舞われる揺 れの強さを想定したものである。 災害リスクの計測とリスクカーブの活用(基礎編)
http://www.ffr-plus.jp/material/pdf/0002/06.pdf Link
地震調査研究推進本部確率論的地震動予測地図 0.1%は格付Aランク リスク評価ガイドライン http://www.classnk.or.jp/hp/rules_guidance/Guidelines/risk_assessment_guidelines.pdf Link
リスクの大きさ=危害の程度*発生頻度 危害の指標
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破滅的な影響;複数の死者 最高ランク 頻度の指標:確率3%はまれ
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1年あたり まれ10E−2 非常にまれ10E−4 R−Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/anzen/doc/006_110201_shiryou2.pdf Link
発生頻度(件/台・年)=事故件数(件)/事故発生時総累積稼働台数(台・年) 原則として、消費生活用製品(特に、家電製品)は、10−8を基準とする。
つまり、年間100万台流通している製品は、100年に1回の死亡事故が 発生しても安全とみなす。 A領域受け入れられないリスク領域 B領域危険/効用基準あるいはコストを含めてリスク低減策の実 現性を考慮しながらも、最小限のリスクまで低減すべき領域 C領域無視できると考えられるリスク領域 個別リスクの評価方法
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/TN04.ppt Link
リスクマトリクス 発生確率=起りやすさと影響度で見る リスクの分類について
http://yaplog.jp/itoh_kiminori/archive/46 Link  
日本の原発は「カサンドラ型」ではないかと思う。カサンドラ型は、起きる 確率はダモクレス型よりも大きいが、「遅れにより無視される」というように 性格付されている。カサンドラは、トロイ戦争のときに侵略を予言したが、無 視されることを運命づけられた、悲劇の予言能力を持つ女性だ。つまり、残念 ながら日本の原発のリスクは、「確率は大きく、災害も大きいが、いつ来るか 分からないので無視される」カサンドラ型と考えるべきだ。この型のリスクは、 『容認できないリスク』である。予防原則に従うなら、安全性の確保できてい ない原発を止めるのが最善だ。
その他の事例
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ダムの事例:1000年に一度
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強震動地域にあるコンクリートダムの地震ハザード評価
http://www.db.shibaura-it.ac.jp/~okamoto/pdf/H18/Morooka-shuuhei.pdf Link 4.2 地震動の揺れの強さによる評価 次に第二章bにより評価基準 B を定めた。すなわち、全ての地震を考慮した場 合に30 年超過確率3%に対応する工学的基盤最大速度が神戸海洋気象台で記録 された地表最大速度90.6 cm/s 以上とした。30 年超過確率3%は、平均的に10 00 年に1 回、地震に見舞われる強さに相当する。その結果、92 のコンクリー トダムが該当した。なかでも最も揺れが強いコンクリートダムは、評価基準a と同じく山梨県にある柿本ダムである。30 年超過確率3%に対応する工学的基 盤最大速度は146 cm/s である。 大雨の事例:1000年に一度 -------------------------------- 異常気象リスクマップ http://www.jma.go.jp/jma/press/0703/28b/riskmap18.pdf Link Q7.「東海豪雨」は500年か1000年に1回の大雨だったと聞きましたが? A7.平成12年9月11日の名古屋での日降水量は428mmで、今回の計算結 果によると再現期間は「200年以上」となります。上述の結果は「この日 降水量が名古屋において200年かそれ以上に1回という稀な大雨だった」と いう点では同様のことを意味しています。 その他の確率 ---------------- 千年に一度というのは、小さな確率なのだろうか http://blog.goo.ne.jp/ota416/e/8c2dc197b9bf0cd35cb6f79475162e85 Link
現代日本の寿命は、女86歳、男78歳である。平均すると、82歳である。 82年間生きる人間が1000年に1回起きる巨大地震に遭遇する率はどれ位 なのか。冷静に考えれば、82/1000程度であることがわかるだろう。8. 2%である。安全を考える上で、リスクが8.2%というのは無視しうる小さ な数字と言えるだろうか。8.2%の確率で破綻する国の国債(日本かな?) って、売れるだろうか。あるいは利回りはどれくらいになるのだろうか。 百万分の一は小さな値ではない
http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/column/micro.html Link
原子力発電所の炉心損傷は炉/年当り10E-6ですから、日本に現在ある52基 分を掛けると日本全体での一年間の炉心損傷の頻度の期待値は5.2×10E-5 くらいとなります。 1年以内に自分が交通事故で死亡することを心配する人は、日本で炉心損傷 が起きる心配をして当然と思います。

経済産業省は今後、地球温暖化対策と して20基ほど原子炉を増やしたいようですが、そうすると、交通事故によ る死亡の確率を炉心損傷頻度の期待値が随分上回ることになります。
2006/01/02追記 2005年の交通事故による死亡者は6871人となりました。
総務省統計局による平 成17年8月の確定値が127608000人ですので、1年間の交通事故死の期待値は5. 38×10-5という事になります。

2006年1月現在の日本の商業用原子炉は54基ですので、炉心損傷の発生頻度の期待値が炉・年当り10-6だと、今年一年、平均 的な日本人が交通事故で死亡する事と、日本のどこかの商業用原子炉が炉心損 傷を起こす頻度の期待値が大体同じということになります。自分が事故死する ことを心配する人は原子力発電所で炉心損傷が起きることを心配して当然だと 思います。

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本田忠 本田整形外科クリニック
031-0802青森県八戸市小中野2丁目9-5
tel 0178-44-8737 fax 0178-44-8530
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― posted by 大岩稔幸 at 09:55 pm

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