後期高齢者医療制度は中止・撤回を
後期高齢者診療料の届出、算定は慎重に
2008年4月22日
高知保険医協会理事会
4月から始まった後期高齢者医療制度は、厳しい時代を生き抜き、今日の社会を築いたお年寄り一人ひとりから高い保険料を原則年金から天引きする過酷なものです。保険料を滞納した人からは保険証の返還を求め、資格証明書を発行することになっています。医療内容では診療報酬に包括制を導入するなど差別的なもので許すことができません。
高知保険医協会は後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めて運動をすすめてきました。国会では2月28日に野党4党が共同で後期高齢者医療制度を廃止する法案を衆議院へ提出しましたが、「ねじれ状況」の中で審議は出来ず、政府・厚生労働省は制度の不手際への対応に追われている状態です。
医療費抑制を目的とする「後期高齢者医療制度」の具体化として、今回の診療報酬改定で「後期高齢者診療料」が導入されました。これは「1人の患者に1つの主病」しか認めず、慢性疾患療養管理を1つの医療機関に限定するというものであり、フリーアクセスや必要な医療が制限されるものです。医療機関に患者の囲い込みを促し、医師を分断して地域医療を崩壊させる危険性をもっています。厚労省は「医療内容が差別されることはない」と、その否定に躍起になっていますが、そうであれば、「高齢者の心身の特性」をもとにかかりつけ医として果たすべき機能を評価し、個別に出来高で評価すべきであり、わざわざ後期高齢者独自の診療報酬を設ける必要はないと考えます。
この算定について、全国各地の医師会や保険医協会が届出や算定を巡って「見合わせる」等の声明を出しています。
以上を踏まえ、会員の先生方には高齢者を差別する「後期高齢者医療制度」の中止・撤回を求める運動へのご協力と、後期高齢者診療料の届出や算定については慎重に対応することを呼びかけます。
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