防衛医療(ぼうえいいりょう、Defensive Medicine)とは、主に医療過誤の賠償責任や刑事責任追及等にさらされる危険を減ずるための、医療者側の対応として行う医療行為、あるいはリスクの高い患者の診療の忌避を意味する。「根拠に基づいた医療」をもじって「判例に基づいた医療」(Precedent Based Medicine, PBM / Judgment Based Medicine, JBM)と表現されることもある。
医学的には妥当な医療行為であっても、訴訟リスクなどを恐れてあえて行わないといったことが起こる。「萎縮医療」などと別称される所以である。また、患者にとってプラスになる医療行為であっても、医療関係者自らのリスクを避けることを優先しあえて行わないといったことが起こる。「保身医療」などと別称される所以である。(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%B2%E8%A1%9B%E5%8C%BB%E7%99%82
医療には明確に線引きができない不確実な部分が多く存在します。どんな病気でも、教科書どおりの症状がでない、教科書どおりの経過をとらない、そして教科書どおりの治療をしても予期せぬ事態が起こりえます。
そしてさらに、検査や手術は、どんなに簡単といわれているものでも、危険性がつきまといます。検査中や手術中に少しでも手がすべったり、集中力を欠いたりすれば、患者さんの人生に決定的な影響を及ぼすような合併症をひきおこしてしまう可能性があります。
もちろん、医師はこのようなリスクを知っているので、自分の失敗が患者さんのデメリットとならないように、日々、自らの技術や知識を磨こうとしています。
ところがその一方で、医師の技術や知識によっても、防ぎきれない合併症が存在します。ほとんどの場合、このような合併症が起こる可能性は極めて低いのですが、必ず一定の確率で起こります。
現在、日本社会が訴訟社会へ変わりつつあります。
もし、このような医師の努力によっても防ぎきれない重篤な合併症が不幸にして生じた場合、医師には民事訴訟、さらには刑事訴訟が待っているのではないでしょうか?
医師にとってはそのキャリアの終焉を意味するかもしれません。
福島大野病院事件で加藤先生が無罪になったことは喜ばしいことです。
しかし、通常の医療行為を行っても逮捕される可能性があるという事実が日本の医師に与えた心的外傷はなかなか癒えるものではありません。
今後、厚生労働省が主張しているような、医師の懲罰的制度としての傾向が強い医療事故調査委員会がそのまま設立されてしまうと、外科や産科で萎縮医療が蔓延するのは避けられないでしょう。
萎縮医療が蔓延すれば、救急や高リスクの患者さんは自分を治療してくれる病院を探す事がもっともっと困難になるかも知れません。
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