大人の修学旅行

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人生2度目の修学旅行 パート2
保団連四国ブロック主催 第19回「文化の旅」
京都・伏見の街と世界遺産の旅・鴨川納涼の宴

徳島                 香川             愛媛              高知
納田 一徳               森 仁志            阿部 真知子          大岩 稔幸
納田 多惠               油谷 一裕           大本 靖            井坂 公(いさお)
篠原 祥三               油谷 千絵                           伊藤 高
篠原 みやこ              西山 徹                            伊藤 幸子
豊崎 纏(まとめ)           西山 ヒロコ                          吉田 紀雄
豊崎 光子               三木 登志也                          吉田 優子
武田 一郎               三木 一美                           弘光  武雄
武田 やすよ              永峰 伸一                           尾崎 さゆり
善成 敏子               永峰 裕美
廣瀬 千壽子              綾坂 則夫
島 孝仁                向井 良治
島 裕美                山下 正樹
高橋 浩子               山下 道子
高橋 翠                白川 佳代子
藤枝 恵裕               都築 睦子
                    篠崎 文雄

計41名参加
中学3年生の修学旅行は、京都・奈良でした。ほとんど記憶ありませんが、それでも自由時間は楽しいものでした。
お土産を買ったり、友達とふざけあったり・・・学生時代の修学旅行は、その手の時間ばかりが楽しみだったが、
大人になって、それも老年期になっての修学旅行は、すべての時間に意味をみつけることができる。
とはいえ、学生時代の気分も妙に脳裏にこびりついて離れない。

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― posted by 大岩稔幸 at 09:06 pm

男のファッション

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ティツィアーノ作 1533年 マドリード・プラド美術館蔵


 スペインを大国に押し上げた神聖ローマ皇帝カール5世のこの姿は、どことなく昆虫を想起させる。上半身の異様な膨張ぶりに比べ、下半身がほっそりしすぎているせいだろうか(巨漢が着用したら、アメフト選手に見えるはず)。
 当時の王侯貴族は、このように肩も腕も腹も詰め物や張り骨でばんばんに膨らませ、人間の自然な体のラインとはかけ離れた、威圧的で誇張された上衣を愛用した。

当然動きにくくなる。そこで胴部や袖などにスラッシュ(切り込み)をたくさん入れ、生地の伸縮性のなさを補った。スラッシュの隙間(すきま)からは高価なリネンの下着がのぞき、デザインの装飾性を高めることにもなった。

 さて、腰から上の豪奢な変形に、腰から下は何で対抗すべきか?

 現代人の感覚では赤面したくなるけれど、当時は、特大のコドピースこそふさわしいとされた。ご先祖はイチジクの葉っぱだからして、本来なら性を隠すために用いるもの。それを存分に際立たせようとの逆転の発想だ。この絵でも、皇帝がわざわざ右手人差し指で示しているばかりか、愛犬が鼻面まで寄せ、嫌でも目を引く(というより、目が点になる・・・)。

 コドピースの強調は、傭兵たちが最初だったらしい。戦場で大事な個所を保護する金属ケースが「かっこいい」とされ、またたく間に支配階級へ広がるにつれ、木綿になり絹になり緞子になり毛皮になっていった。金糸銀糸で刺繍したり、形も巻き貝型やら何やらバラエティに富んだ。

 なにしろ15世紀から300年間も続いた、ヨーロッパ全土での大流行だから、どんどん進化したし、綿や羽毛を詰めて巨大化した。しまいにはハンカチや金貨、果物まで入れる御仁(ごじん)もいた由。

 「見えのはりすぎ」「下品きわまりない」と非難する同時代人もいたが、誰も聞く耳を持たなかった。脚線美の一部として、なくてはならぬ装飾と考えられていたのである。

 いったい女性たちはどんな気分で見ていたのだろう? 謎である。

 だが奢れるコドピースも久しからず。性を誇示する、男性限定のこのおしゃれは、今や跡形もなく消え去り、とりあえず復活の気配はない。









コッドピース(codpiece)とは、14世紀から16世紀末にかけて流行した、股間の前開き部分を覆うための布のこと。フランスではブラゲットと呼ぶ。
小物などを入れる用にも充てたため、日本語では股袋(またぶくろ)と訳される。
16世紀には当時の体型を誇張する風潮から、詰め物や装飾が施され男らしさの主張となった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9 Link














2010.9.7高知新聞朝刊
名画に見る男のファッション 4
(ドイツ文学者)中野京子

― posted by 大岩稔幸 at 12:17 am

医療と漫画について

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医療と漫画の関係を考える

【メディアの多様化】
 近年、医療を扱うメディアは多様化しています。例えば、新聞、テレビ、雑誌のような従来型メディアに加え、ネットメディア・ブログなどの新規メディアが発達しつつあります。さらに、映画・テレビドラマ・漫画でも医療が取り上げられることが増 えました。6月封切りの映画『孤高のメス』や、話題になったテレビドラマ 『JIN-仁-』など、ご記憶の方も多いでしょう。このようなメディアは、多くの国民 に影響を与えていることが予想されます。

【医療漫画】
 特に、漫画は興味深い存在です。2006年度に出版された漫画単行本は1096 5点、漫画雑誌は305点に上ります。出版物全体の37%に相当し、その影響力は 無視できません。  また、漫画は日本が誇る文化です。「Manga」は世界中で通用し、多数の作品が海 外で人気を博しました。例えば、『ドラゴンボール』、『ナルト』、『BLEAC H』、『ONE PIECE』、『鋼の錬金術師』、『デスノート』が挙げられます。 また、アニメでは宮崎駿監督の一連の作品や『エヴァンゲリオン』が有名です。

 最近、友人の医師から面白い話を聞きました。彼が指導している研修医から、「医 師不足の原因は何か知っていますか?戊辰戦争の後遺症ですよ。モーニング(講談社 発行の漫画雑誌)に連載中の『エンゼルバンク』に書いていましたよ。」と言われた そうです。友人はJMMの読者ですから、この話は知っていました。驚いたのは、情 報の入手先が漫画雑誌モーニングだったことです。ただ、落ち着いて考えれば、納得 がいきます。どの病院でも、研修医部屋や当直室には漫画雑誌が置いているのですか ら、研修医が漫画の影響を受けるのは当然です。 【医療漫画の研究】

 医療界にとって、漫画は有望な媒体です。ところが、医療と漫画の関係については、 あまり研究されていません。  当研究室に、医療と漫画の関係に関心を持っているスタッフがいます。岸友紀子さ んという医師・医学博士です。虎の門病院・国立がんセンター中央病院で血液・腫瘍 内科医として研修し、その後、自治医大花園豊教授の指導のもとで、再生医療を研究 しました。2008年4月から、私たちの研究室に合流し、医療と社会の関係について研究を進めています。今回は、彼女が研究成果をご紹介しましょう。

 漫画研究の難しいのは、データベースが整備されていないことです。ウェブ検索や、 参考資料の孫引きを繰り返しながら、医療漫画を探さなければなりません。大変な手間を要した研究でした。岸さんは漫画・アニメが大好きです。好きこそものの上手な れ、彼女でなければ、実行できない研究でした。

【医療漫画は手塚治虫から始まった】
 医療を扱った最初の漫画家は手塚治虫です。彼は、1945年7月、大阪帝国大学 附属医学専門部に入学し、医学を学びます。そして、在学中から漫画を書き始めます。 51年に大学を卒業し、52年には医師免許を取得します。その後、医師として診療 することはなく、上京して、有名なトキワ荘に入居。漫画家として活動します。

 手塚の最初の医療漫画は『きりひと賛歌』です。1970年4月から71年の12 月まで「ビッグコミック」(小学館)で連載されました。手塚が医療漫画を書き始め たのは、漫画家としてかなりキャリアを積んでからです。 『きりひと賛歌』は、四国の山あいにある犬神沢の村に起こる奇病をめぐる物語です。 大阪のM大学医学部に勤める青年医師小山内桐人と同僚の占部が、奇病 モンモウ病 の克服に取り組みます。その過程で、医学界における権力闘争に巻き込まれる様も描 かれており、社会派的色合いの強い作品になっています。

 M大学のモデルは大阪大学です。1963年からサンデー毎日で連載された『白い巨塔』(山崎豊子著)でモデルとなった大学です。今でも、阪大と言えば権力闘争というイメージがあるのですから、『きりひと賛歌』が発表された1970年頃には、 多くの国民が、そのような感覚を持っていたのでしょう。医師不足や医療崩壊など、 夢想だにしない時代です。

 その後、1973年には週刊少年チャンピオンで『ブラック・ジャック』の連載が 始まります。この連載は、1983年10月まで続き、我が国の医療漫画の象徴となります。今更説明の必要はないでしょう。『ブラック・ジャック』以降、多数の医療 漫画が出版されます。

【医療漫画は1980年代以降、急増した】
 2008年12月現在、173の医療漫画が発表されています。興味深いのは、医 療漫画の作品数が1980年代後半から急増したことです。漫画全体の出版数の伸び を遙かに上回ります。

 1970〜80年代の医療漫画と言えば、手塚治虫の独壇場でした。『きりひと賛 歌』『ブラック・ジャック』に加え、1981年から「ビッグコミック」で連載され た『陽だまりの樹』が、手塚の医療三部作とも言えます。

 一方、90年代に入ると、『MONSTER』 (浦沢直樹作)、『研修医なな子』(森本梢 子作)などの漫画が発表され、人気を博します。これらの作品の作者は医療関係者で はありません。

 90年代以降の医療漫画の急増は、国民の医療に対する意識の変化を反映している と考えています。インフォームドコンセントの確立に代表される患者意識の変化が生 じ、医師が聖職者と見なされなくなったのは、この頃です。映画や文学作品よりは低 俗と見なされている漫画でも、医療が主題として取り上げられるようになったのかも しれません。

【医療漫画の主人公は誰か?】
 では、医療漫画で描かれるのは、果たしてどんな人たちでしょうか?

 岸博士たちの調べた範囲では、医療漫画の主人公の内訳は、医師134、看護師19、歯科医師3、医学生3、看護学生1、その他13でした。一貫して、主人公の大半は医師ですが、1990年以降、心理士・カウンセラー・理学療法士・薬剤師など のコメディカルが主人公の医療漫画も登場しています。

 漫画家や一般読者にとって、医療従事者の代表的存在は医師です。しかしながら、 コメディカルを主人公とした医療漫画が増加していることは、医療の専門分化を社会 が認識し始めていることを反映しています。このような漫画が増えることで、国民の 医療に関する認知も深まる可能性があります。

【医師の専門は?】
 では、医療漫画で描かれる医師の専門は何でしょうか?予想通りかもしれませんが、 外科医が中心です。内訳は内科系47、外科系71、研修医7でした。70年代以降、 この傾向は一貫して変わりません。

 慢性疾患を対象とすることが多い内科と比べ、手術により完治が期待できる外科では、患者の変化が劇的です。また、内科における薬物療法と比較して、外科手術は、読者に医療現場を強く想起させることができます。このため、多くの漫画家は医療漫 画のテーマとして外科医を選択したのでしょう。

 医学の基礎は「内科」ですが、国民がお医者さんを考えるときに思い浮かべるのは、 「外科」です。このあたり、国民に若干の「誤解」を与えているかもしれません。

【読者は?】
 漫画といっても、その対象は、子供向けからアダルトまで多岐にわたります。医療漫画も同様です。岸の調査では、少年誌(高校生以下)23、青年(大学生から若年 社会人)36、一般男性社会人52、男性向きアダルト2、少女(中学生以下)7、 一般女性(高校生以上)31、女性向きアダルト18、他18でした。  従来、医療漫画は男性誌を中心に掲載されてきましたが、90年代後半以降、女性 誌でも掲載され始めます。これは、この頃から成人女性を対象とした雑誌の創刊が相 次ぎ、その中で医療者が取り上げられたためです。

 男性誌については、少年誌よりも青年から成人を対象とした雑誌における掲載数が 多いことが特徴です。多くの漫画家・編集者は、医療は若年者の関心を引きにくいと 考えているのでしょう。

【医療漫画の映像化】
 近年、漫画はテレビや映画などで映像化されることがあり、漫画の読者層とは異なる多くの国民へのアプローチが可能になっています。
 我が国でも、14作品(全体の8%)が映像化されており、これは他分野の漫画とほ ぼ同水準でした。興味深いのは、アニメ化(2.3%)と比較して実写映像化(テレ ビドラマ化)(5.8%)される頻度が高いことです。

 漫画の一般的性質上、映像化の際には実写化よりもアニメ化が多くなります。とこ ろが、実態は逆です。この差は、医療は現実の営みであり、アニメよりもドラマのほうが視聴者へ訴えかけやすいと制作者たちが考えたからかもしれません。

【医療漫画の変化】
 このように医療は、漫画の重要なテーマになりつつあります。最近の特徴は、医療 従事者の視点に立った作品が増えてきたことでしょうか?
 従来は、手塚治虫など一部の作家を除き、医療は作品の舞台にすぎず、テーマは別にありました。例えば『MONSTER』では、東ドイツで特殊訓練を受けて殺人鬼と化したヨハン少年を、外科医のテンマが追跡し、抹殺しようとします。漫画研究で著明な 竹内オサム 同志社大学教授によれば、このプロットは手塚治の『鉄腕アトム』や映 画『逃亡者』と通じるそうです。一連の作品の主題は人間の不条理です。

 ところが、昨今の漫画は違います。『麻酔科医ハナ』(なかお白亜作)、『最上の命医』(入江謙三作)などは、医療そのものがテーマです。そして、これらの作品で は、医師の目線で物語が語られます。作者は医療関係者ではないのに、細部までこだわった作品が多いことが特徴です。例えば、『最上の命医』では東大病院の医師たちが監修したことが話題になりました。

 また、このような漫画では、『ブラック・ジャック』や『医龍』(乃木坂太郎作) に登場するスーパー・ドクターや、『Dr.コトー』(山田貴敏作)の理想的医師は 登場しません。医師の泥臭い部分が描かれ、医療の実態が伝わっています。このよう な変化は、国民の医療に対する関心が高まっていることを反映していると考えています。

 高齢化社会では、医療は大きな社会問題です。このような問題を、国民が共有する際に、芸術の力は欠かせません。明治の時代の変化を国民に伝えたのが、夏目漱石や 森鴎外であったように、21世紀の高齢化社会のあり方の変化を伝えるのは、漫画家 などの芸術家なのかもしれません。医療漫画というジャンルに興味をもっていただければと考えています。

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上 昌広(かみ・まさひろ) 東京大学医科学研究所 探索医療ヒューマンネットワークシステム部門:客員准教授 Home Page:( http://expres.umin.jp/ Link ) 帝京大学医療情報システム研究センター:客員教授「現場からの医療改革推進協議会」 ( http://plaza.umin.ac.jp/~expres/mission/genba.html Link ) 「周産期医療の崩壊をくい止める会」 ( http://perinate.umin.jp/ Link )
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― posted by 大岩稔幸 at 09:59 pm

人類学とセックス



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 2009年はダーウィン生誕200年だった。ダーウィンは1859年、『種の起源』を出版し、1871年には『人間の進化と性淘汰』を著した。その中で、「これから 私達はいくつかの例において、闘いで他のオスを打ち負かすよりも、メスを魅了する力の方が重要であると云う事をみる。これは未だかつて予想も出来なかった」と書いている。その後の資本主義、帝国主義の中では、『種の起源』は弱肉強食で表きれる自然淘汰のみ強調されてきたが、近年は性淘汰について見直されている。人類学をその目で見ると、面白い世界が開けてくる。ここでヒトと、類人猿のチンパンジーとゴリラを比較してみる。

 チンパンジーとゴリラとヒトの性は、婚姻パターンの違いで、それぞれ乱婚、ハーレム、一夫一婦性である。ヒトの性は、どちらかといえば生殖よりも快楽の方が主になっているが、元来、動物にとっては子孫を残す行為である。多くの動物でメスをめぐる争いは熾烈であり、しばしば死も伴う。

 その点では、チンパンジーの乱婚も優れたシステムであろう。発情期にあるメスは、排卵を示すシグナル(真っ赤になった性皮)をお尻に表し、それを見てエキサイトしたそのグループのオス全部と関係を結ぶ。1回の妊娠のために多くの異なるオスと500〜1.000回交尾をするともいわれ、オスたちは順番待ちをしてでも、それに及ぶとのことである。メスを独占しようとするからオス同士の争いが生じるので、それがなければグループ全体で仲良くできる。しかし、その中にも自分の子を残す競争はある。チンパンジーは乱婚社会といってもボスはいる。ボスの役割はグループ内の秩序を保つとともに、他グループに対して、縄張りの確保をすることである。権力を有するボスは、他のオスよりも、多くの子どもを残すのも事実である。

 男性性器の形態で言えば、チンパンジーの睾丸は体重比で大きく、精子を沢山つくることができる。オスのヒツジは一日に20〜40回の射精が可能というが、睾丸が大きいチンパンジーのオスも精力的で1時間に1回、5回しても貯蔵精液の半分は残るときれる。一方ヒトも体重比で睾丸が大きい方だが、一日、6回も射精すると貯蔵精液は枯渇してしまう。
 チンパンジーのペニスは細いが長い、しかも陰茎骨まで持つ。オスもメスも多くを相手にしなければならないので、性交時間は短い。しかし、より粘性が高い精液を、短時間に大量に奥まで確実に送れるオスが、自らの子孫を残す確率が高くなる。

 一方、ボスのゴリラはハーレムの主であり、グループ内に競争相手もいないので、睾丸もペニスも小さくてすむ。メスは発情のシグナルをわずかしか示さず、発情期のみしか性交はしないが、効率的に子どもをつくることができる。とは言っても、一日に2〜3回、1回の妊娠に対して20〜30回交尾するといわれる。ハーレム内でもときどき政権交代があり、新しいハーレムの主は前のボスの子どもを殺すことでメスの発情を促し、自分の子どもを残すメスは一生に一度は子殺しに遭遇するためか、次期ボス候補を含めた劣位のオスとの浮気も行う。これも子殺しを避ける保険であろう。

 18世紀初頭、888人の子どもをつくったモロッコの王様は例外中の例外として、ヒトは“原則的”に一夫一婦制である。個々のケースでは、乱婚型もハーレム型もありそうな感じではあるが・・・。

 ヒト以外の霊長類は性交後、何気ない様子で行動することから、オーガズムが無いという説もあったが(デズモンド・モリス;裸のサル)、今は否定的である。

 オスのオーガズムは射精に伴う反応で性的快楽をもたらし、繁殖行動を強めることになったという。これは納得できる説明である。メスのオーガズムについてもいくつかの説がある。女性のオーガズムは男性とは違った適応の結果という。一つはオスによる子殺しへの対応という説である。

 前述したように、ライオンやゴリラで見られるが、オスは一般に自分と交尾しなかったメスの子を殺し、その行為によってメスを発情させ、自分の子孫を残す。もし、性的快楽という確実な報酬、オーガズムがあれば、多くの交尾を求めるメスは、子殺しのオスからうまく逃れることができる。射精で終わってしまうオスとは違い、長い不応期がなく、何度も繰り返しオーガズムを得る能力のあるメスは、多くの子どもを残すことになる。また別の説では、パートナー選択の適応結果だという。男女間の性行為が、必ずしも女性にオーガズムをもたらすものでもない。しかし、自分に十分なサ−ビスと、性的な快楽をもたらしてくれる恋人はよきパートナーとなり、熱心な父親になるという訳である。

 チンパンジーもゴリラも、主に草食であり、授乳期が過ぎれば、生まれた子どもは自分で食料を見つけて食べる。その点、何でも食べるヒトは違う。ヒトの祖先はもともと樹上生活をするサルである。そのため一回の出産でだいたい子供は一人であり、育児に十分手をかけることができるが、そうでなければ育たない。その後、雨季と乾季のある熱帯サバンナで生活するようになったが、そこはライオンなどの捕食ものの危険が多く、食料確保も困難だったはずである。

 ここで草食から肉食もするようになったとされる。当初は他の肉食動物の食べ残しをあさることから始まるが、道具の使用で次第に自ら狩りができるようになった。また、植物の根など、繊維性の食料を摂っていたが、肉食や道具の使用、さらには火の使用による調理法の変化で、柔らかい食料が多くなった。それにより、頭部を締め付けていた咬筋に変化が生じて小さくなり、脳の発育を促した。

 複雑な生活を営むには、子どもには15年以上に及ぶ養育や教育が必要となり、子どもを自立させるには夫婦の強い絆も必要となった。それには、性が大きな役割を果たし、他の霊長類にない性行動を身につけることになった。性交のほかに、キス、ペッティングはもちろん、裸の皮膚は性感を高めるため体毛を失ったという。授乳器官の乳房も性器宮となり、対面性交することでお互いのコミュニケーションを深めることができる。ゴリラの眼球が黒いが、ヒトは白くなり、お互いに見つめ合うことで意思の疎通さえできるようになった。

 さらに興味深いのは、睾丸がチンパンジーより小さいけれども体重比では大きく、ペニスも大きく太い。それで女性を満足きせ、他の男性に走らないようにずる。メスに性のシグナルが明らかにあれば、オスはその受胎期だけ相手して、他の期間は他のメスに移ることもある。
 ヒトの先祖が発情期を隠すようになったことが、自分の子どもを得るためには、いつも性的関係を維持しなければならず、長期の関係(家庭)をもたらしたと考えられる。

 また、肉体的に劣るヒトが狩人として生活していくためには、オス同士の協力がなければ獲物は得られない。ボスがメスを独占すれば協力は得られないので、この点からもー夫一婦制は必然である。
ただ、ヒトの一夫一婦制にも「マイホームバパ説」と「たくさんのパパ説」という考えがある。前説では、男性が家族に愛情を持ち、食料を運ぶことで確実に子孫を残すことができたであろう。しかし、夫婦間の強い結びつきが必要だとしても、狩猟による事故や戦いや飢餓などは日常の事であり、子どもが成人するまでに父親が亡くなることも多かったはずである。後説では、一人の父親の子どもを持つより、複数のDNAを入れること、つまり父親の違うことで多様性に富んだ強い子どもをつくることができたとも考えられる。また、子どもの親は‘誰か’という、母だけが知る事実もあるため、心当たりのある男性は本当の父親ではないにしても、子どもの母親を援助することになる。そのためか女性の方からの浮気も多かったはずで、これもまた保険という意味合いがある。

 その例として、南米先住民、アチェ族の話がある。1974年、初めて文明人(?)に接した彼らの40%が免疫を持たないために、感染症で死亡したという不幸な歴史を持つ。男の間では、こん棒での戦争は細野捜索事や多くの未亡人が発生する。正式の結婚制度ではないが、2人以上のパートナーを持つ一夫多妻の社会ともいえる。しかし、父を持つ子どもは86%が育ち、父がない子は50%以下の生存である。このような社令では厳格を一夫一婦制は成立しないであろう。

 また離婚は結婚4年目が−番多いという、ある研究がある。その説明では、結婚1年目は相手に夢中であるが、やがて子どもが誕生する。授乳期には夫の協力がなければ生活ができない。しかし、歩き、話すことができる3歳になれば手がかからないようになり、母系社会では親族の誰かが面倒をみてくれるようになる。それまで頼りきっでいた夫だけでなく、他の男性にも目が向くようになり、結果として、環境の変化に強い子どもが得られる確率が高くなるという説明である。一生、同じペアを組む白鳥のような例もあるが、多くの鳥類は1年で子育てを終え、翌年には新たなべア形成をする。つまり、結婚は1年契約である。ヒトも4年契約みたいな遺伝子がヒトの中にあるのかもしれない。

 現代社会ではどうだろうか? 毎月、決まった額の御亭主だけからの給料だけでは生活が賄えない。そこで、ちょっと不倫をすることで、ボーナスを手に入れることができる。このような例は人類誕生までさかのぼって存在するように思える。

 1980年代、英国の婚外子は4%程度と推定されていた。

 現在でも子どもと父親のDNA不一致率が30%を超える部族もある。ある意味、もともと、私たちには不倫するDNAが組み込まれているのかもしれない。しかし、何と言っても、一夫一婦制の強い絆が、長い養育期間、家族に食事を与え、子どもを教育し、結果としてヒトをつくったのである。

 ちなみに、オスとメスが仲良く協力してヒナを育てるツバメでさえ、ペア外交尾の子どもの比率は26%にもなるそうである。

 チンパンジーの中でも、人間の音声言語を理解し、ヒトに次いで知的といわれるボノボチンパンジーは性をコミュケーションの手段にすることで暴力のない社会をつくっている。さまざまな体位でいろいろな相手ともセックスを楽しむ。このようなことを両性とも日に数十回も行うそうである。ヒトにおいても、性を間において夫婦が強く結び付き、子どもを育て、一方では不倫することで多様を子孫をつくる。どちらが原因でどちらが結果ともいえないが、婚姻の形態が変化し、性行動も変化してきた。

 いずれにせよ、ダーウィンのいう“自然淘汰”“性淘汰”の課程がホモサピエンスを誕生させた。全人類が自由に結婚できる現在、もうヒトには自然淘汰による進化はないのであろうか? DNAの変化の可能性について考えられるのはHIVがまん延している南部アフリカでHIVに強い遺伝子の出現。また逆に、文明の進んだ先進国ではヒトにとって不利な突然変異の遺伝子の蓄積が当然考えられる。

 一方、近年、遺伝子工学の進歩はめざましく、病気または不利な遺伝子治療は、受精卵の操作におよび、一歩進めば、許きれないデザインベビーの誕生を見るかもしれず、こうなると“進化”という問題ではなくなってしまう。











大塚薬報 2010/No.656

― posted by 大岩稔幸 at 01:08 am

「解禁してはいけない『混合診療』」

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 3月15日の日本経済新聞に「質が高くて効率的な医療・介護をぜひ」と題した社説が掲載されていました。医療の提供体制、高齢者の医療と介護、保険財政の改革などを提言するものでした。その中で、「高い医療技術を生かして医療・介護産業を育てる」という視点から、「保険診療と保険外診療の組み合わせ(混合診療)の原則解禁が欠かせない」と述べられていました。内閣府の規制改革会議でも、最重要課題のトップに「保険外併用療養(いわゆる「混合診療」)の在り方の見直し」が挙げられ
ています。

【混合診療を解禁するといいことづくめか?】

 現在の日本の保険診療では、保険診療と保険外診療(自由診療)を併用すること、つまり混合診療は原則として禁止されています。保険で認められていない保険外診療が診療内容に加わった場合には保険が適用されず、全額が患者の自己負担となります。

 例えば、「海外では普通に使用されているけれど、日本でまだ未承認の薬で治療してほしい」という場合には、1か月分3万円の薬代金を追加で自己負担すればよいというわけではなく、保険適用診療分も全額自費での治療になります。

 この場合、混合診療が認められていれば、診察検査代金7万円の自己負担(3割)分2万1000円+薬代3万円=5万1000円で済みます。ところが、混合診療が認められていない現状では、保険適用診療分も全額自己負担となりますので、診察検査代金7万円+薬代3万円=10万円になってしまうのです。

 このように、混合診療を認めれば、保険外治療を望む患者の自己負担額は大幅に減ります。また、保険外治療分は国庫負担が生じないため、医療費の削減効果も見込まれます。こう考えると、利用者の多彩なニーズに応えることができて、なおかつ健康保険料からまかなう医療費負担も減るのであれば、「さっさと解禁して、余裕のある人は医療費を多く支払って望む治療を受けられるようにすれば良いじゃないか」と思うことでしょう。

 でも、混合診療解禁問題は、そんなうまい話では決してないのです。

【自由診療サービスが病院の収入源に】

 もしも混合診療が解禁されると、病院でどのようなことが起きるでしょうか。

「症状はないけれど腫瘍マーカーをチェックしてください」とか、「胃や大腸の内視鏡検査は静脈麻酔を使用して、痛みなくやってください」などといった患者の要望は、現状の保険診療ではカバーされていません。もしも混合診療が解禁されると、患者は追加料金を支払うことでこれらの要望を受け入れてもらえるようになります。

 一方、病院の側にしてみると、現状ではほとんどの病院が低い医療保険点数のため赤字に苦しんでいますので、保険診療以外に数万円の追加収入が得られる自由診療サービスはどんどん提供したいところです。混合診療が解禁されれば、多くの医療機関が上記のみならず患者の細かなニーズに応えた様々なサービスを打ち出して、収入アップを図ることでしょう。

 実際に、差額ベッド(追加料金が発生する個室などのこと)の比率制限が全病床の2割から5割に引き上げられた時には、大部分の病院が上限の5割まで差額ベットを増やして対応しました。病院にとって1日3万円の差額ベット代金は、売り上げの1割以上を占める貴重な収入源なのです。

【公的保険診療しか行わない病院は「完敗」する】

 ここまでの説明だと、「今まで国民皆保険だからという理由で十分なサービスを行なってこなかった医療機関が、必死にプラスアルファのサービスを行なうようになるのだから、良いことではないか」と思われるかもしれません。

 しかし、話はそれでは終わりません。

 数万円の追加収入が得られるサービスを次々と提供した病院は、その利益を再投資して最先端の医療機器をどんどん導入します。スタッフにも高待遇が提示できるため、優秀なスタッフが集まってきます。一方、追加自己負担金をなるべく生じさせないで、現在の医療費の枠内で頑張っている病院は、待遇を改善できずにスタッフを引き抜かれ、赤字のため医療機器も最新のものが揃えられず、設備がどんどん老朽化します。

「混合診療を導入しても、保険診療部分が維持される」と考えるのは幻想です。公的保険でカバーされる部分だけで治療を行なう病院は、混合診療を取り入れた病院に、数年のうちに完敗するでしょう。気がついた時には、健康保険適用外の自己負担金を支払わないと満足な医療が受けられないような状況になっているのです。

【医療における消費格差を生み出す】

 現在でも、「1日当たり3万円の差額ベッド代金がかかる部屋ならばすぐに入院できますが、差額なしの病室は現在空きがありません。入院は1か月先まで待っていただくことになります」という事態が頻発しています。

「追加分を自己負担すれば多様な医療サービスを受けられる」という状態を制度的に認めると、お金を支払うことができるお金持ちは良い治療を受けられることになります。一方で、お金のない人は必要な医療を受けられない、良い薬が手に入れられないという状態を作り出すことになるのです。

 誰でも病気になった時に、必要な医療を少ない負担で受けられる状態を維持するためには、医療単価をアップするしかありません。それがこれほどまでにスムーズに進まないのは、私には信じ難いことです。

 日本の総医療費は約30兆円で、パチンコ産業の売り上げとほぼ同じくらいだとよく言われます。ただし、そのうち国庫負担分は12兆円にしか過ぎないのです。混合診療は、「みんなに広く平等に」という現在の医療の方向性に、真っ向から相反するものです。支払い能力によって受けられる医療に格差がつく社会にして、本当にいいのでしょうか?









このコラムはThe hottest OPINION site in Japan JBpressよりの転載です。
 http://jbpress.ismedia.jp/category/medical Link    ( http://jbpress.ismedia.jp/ Link )

― posted by 大岩稔幸 at 10:28 pm

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