牛頭天王
 祇園の神である素戔嗚尊は、インドの釈迦の生誕地に因む祇園精舎の守護神であるゴヅテンノウ(牛頭天王)ともされていました。牛頭天王という名は、新羅に牛頭山という山があり、熱病に効果のある栴壇(センタン)を産したところから、この山の名を冠した神と同一視されました。
それというのも、素戔嗚尊は、新羅の曽尸茂利(ソシモリ)という地に居たとする所伝も『日本書紀』に記されていまして、「ソシモリ」は「ソシマリ」「ソモリ」ともいう韓国語で、牛頭または牛首を意味し、韓国には各地に牛頭山という名の山や牛頭の名の付や島がある由です。
さらにインドの密教や陰陽道の信仰とも混じりあって、神仏習合の形で祇園信仰が広まりました。つまり祇園の神といえばわが国固有の神道と、インドに成立した仏教と、中国の道教等の習合によって生み出された、まことに国際的な神さまなのです。