何を着るかよりも、どう着るか。そんな着こなし重視の時代を反映してか、コーディネートに不可欠な小物や雑貨が、秋冬シーズンに先がけて人気を集めています。
中でも特に大人気なのがブーツ。フリンジ付きのブーツや、裏側にファーが付いたモコモコのムートンブーツなど、フラットで履き心地の良いカジュアルブーツが、残暑厳しい8月末ごろから早くもブレークしました。
ショートパンツから長く伸びた素脚で履いたり、紺身のジーンズをブーツの中に入れたりと、若い人たちの今秋一番のホットなストリートファッションとしてすっかり広がっています。
見るからに暑苦しそうなムートンブーツですが、実際に履いてみるとそれほどでもないのです。もともとは、サーファーたちの愛用品。実はファーが付いているおかげで内側は外気温の影響を受けにくく、一定の温度に保つだけでなく、通気性に優れ、水分を素早く発散します。そのた暑いときは涼しく、寒いときは曖かく、一年中快適に履くことができるのです。
一方、西部劇などでおなじみのフリンジブーツですが、これは一枚皮で足を包み込むように作られているので、履き心地は抜群。もちろん一年中履ける優れ物です。特に、切り込みを入れて作ったフリンジ飾りが動きがあってかわいいと評判に。確かにフリンジブーツを履くと、足元に華やかさが生まれ、すてきに見えます。
またこのフリンジ使いは、春から人気継続中のフォークロアやヒッピースタイルを取り入れたボヘミアンに欠かせません。
写真の、2008〜09年秋冬ミラノコレクシノヨンで発表されたグッチのボヘミアンスタイルは、その代表例と言えます。刺しゅうやピンタックで飾った東欧調のブラウスを中心に、チェーンや金具で飾ったベルト、ネックレス、革ひもを束ねて作ったフリンジ付きのロングブーツなどを組み合わせています。′
高度な職人技ですべてに豪華な装飾が施されていますが、ブーツに付けられた特別に長いフリンジの、歩くたびに大きく振れるさまほど、強くて楽しい印象を与える装飾はないでしょう。
(ファッションコーディネーター・村上ケイ、写真は大石一男)
2008年11月20日 高知新聞朝刊
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