だるま夕日

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 高知県の西南端に位置する宿毛(すくも)市は、冬でも過ごしやすい温暖な気候で、海や山、川など豊かな自然に恵まれた町。そして、この町にある宿毛湾は、さまざまな形で海を愛する人たちから注目を集めている。

「魚のゆりかご」といわれるほどの磯釣りのメッカであり、湾に浮かぶ沖の島周辺は、海水が澄んでいて珊瑚礁や熱帯魚が数多く見られるとあって、国内でも有数のダイビングスポットとして人気も高い。

 また宿毛湾はたいへん入り組んだ形状をしていて、水深も深いため、たくさんの魚が集まってくる。夕暮れ時まで釣り糸を垂らしていると、ちょうど夕日が海に沈むところだった。

 しばしその情景を眺めていると、夕日が海に沈む直前で水面に溶けてしまうかのような幻想的な姿に変貌していく様子を見ることができた。夕日が完全に沈みきるまでの数分間、あまりの荘厳な光景に時間が過ぎていくのも忘れ、その場に立ち尽くしてしまった。

 その素晴らしい夕景は、宿毛湾の冬の風物詩『だるま夕日』という。11月中
旬から2月中旬の3カ月問で実際に目にすることができるのは、わずか20日ほど。綺麗なだるま形になるのはそのうちの10日程度と、まさに見るだけで「幸運」だといいたくなる夕景なのだ。

 大気と海水の温度差が大きく、冷え込みが激しい晴れの日に、海面から立ち上る水蒸気によって光が屈折して生じる自然現象で、風の強さも含めた気象条件がそろわないと実現しない、一種の蜃気楼のようなものである。

 こんなにも心を揺さぶられる夕景は初めてだった。今冬のシーズン中には
再び宿毛を訪れて、今度は多くのカメラマンに紛れ、真っ赤なだるま夕日を
カメラに収めたいと思うのだ。
                                   
宿毛市の観光に関するお問い合わせ先:宿毛市観光協会 
TEL:0880−63−0801
URL:http://www.sukumo-darumayuhi.jp Link


 宿毛湾の4つのポイントから観賞できるだるま夕日は、めったに見ることのできない「幸運の夕日」といわれている。だるま夕日が見られる咸陽島やサニーサイドパークは、“日本の夕陽百選”にも選ばれている。絶好の被写体として全国からカメラマンが訪れ、美しくだるま形に沈んでいく夕日をカメラに収めていく。写真は宿毛市桜公園臨時駐車場からの夕景。

― posted by 大岩稔幸 at 07:13 am

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