07年回顧

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 「偽」に明け、「偽」に暮れた一年だった。

 07年新年早々、不二家の消費期限切れ原料使用が発覚。その後もミートホープ社の偽牛ミンチ、北海道の代表的土産「白い恋人」、伊勢名物「赤福」、秋田の比内地鶏、大阪の「船場吉兆」と、各地で賞味期限改ざんや原材料・産地の偽装が明るみになった。

 大手や老舗までが次々と転落し、消費者は何を信じたらいいのかと途方に暮れるばかりだ。

 たがが外れたような偽装の連鎖は、日本人全体の規範意識や公徳心が崩れつつあるという警鐘ではないか。消費者のやり場のない怒りは、表示や食に対する不信となってうずまいている。
 改ざんは、住宅用耐火壁の耐火性能や、高速道路の橋梁の型枠の強度など、私たちの生活を守る見えない部分にも及んでいる。

 不正のつけ入るすきを与えているのは、なりふり構わぬ利益優先や効率主義だ。行き着く先は人命の軽視にほかならないという危機感を、私たちは共有しなければならない。

 日常生活の「安全・安心」も心もとない。

 新潟県中越沖地震では、東京電力柏崎刈羽原発が耐震基準を大幅に超す揺れに見舞われ、原発の耐震安全性という極めて重大な問題が提起された。

 凶悪犯罪も絶えなかった。中でも国民の「体感治安」を一気に悪化させたのが銃犯罪の続発である。

 長崎市の伊藤一長市長が暴力団組員に銃撃され、愛知県長久手町の元暴力団組員による拳銃立てこもり事件では、警察官ら四人が死傷した。

 そしてことしもまた、幼い子どもが犠牲になる痛ましい事件が続いた。

 香川県坂出市では祖母とともに幼い姉妹が親族の男に殺害され、兵庫県加古川市では自宅の玄関前で女児が何者かに刺殺された。何の罪もない子どもたちを、これ以上大人社会の犠牲にしてはならない。

 「偽」がはびこるほど、より確かなもの、誠実であることの価値が見直されている。一人一人の意識を高めることで、不正の芽を社会から摘み取りたい。

― posted by 大岩稔幸 at 10:09 am commentComment [1]

この記事に対するコメント[1件]

1. プリアーニ@大阪 Website — January 2, 2008 @17:41:41

[にこっ/] 明けまして おめでとうございます

子年(ねどし)で始まった今年の大岩先生のブログ、経済では荒れ気味の感ですが それ以外では万事がスムースに運んでもらいたいものです。
かく言う私が「子年」、今年の夏には満何歳、もうウロウロ出来ない と言うか、いつお迎えが来てもおかしくない歳になりました。
言いたいことは 今のうちにと ブログを続けています。

両親がなくなって 帰郷も少なくなりますが また、寄らせて頂きます・・ご自愛のほど・・・・プリアーニ

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