天気予報

wilddeepcurrent

「戦争は発明の母」といわれる。敵に勝つため、頭脳を結集して新しい技術を生み出した例は古今東西、枚挙にいとまがない。天気予報もそのひとつといえるかもしれない。

19世紀半ばのクリミア戦争。フランスの戦艦が黒海で暴風に遭い沈没した。イベリア半島で発生し、東に移動してきた暴風だったことから、天気図で変化を追えば予想できたのではないか、となったわけだ。1858年にはフランスで天気図による天気予報が始まっている。

科学技術の進歩とともに、天気図による予報は物理学の法則に基づく数値予報に変わった。日本では当初、経験派と理論派の予報官の間で対立もあったようだ。他の分野でも起きた人間と機械のあつれきのようなものだが、精度が向上したいまでは昔話だろう。

予報手法は変わっても、観測データがもとになるのは不変。もっとも収集方法はかつての人力から自動になり、測候所の廃止が相次ぐ。

人類は太古から雲や風を観察して天気の変化を予測してきた。「観天望気」の成果ともいえることわざは紀元前からある。「夕焼けは晴れ」など多くの国に共通するものから、地域独特のものまで実に多彩だ。天気予報の発達は歓迎だが、一方でそんな生活の知恵が失われつつあるのも間違いない。

きょう11日は暦の上では「入梅」。空を見上げながら「梅雨入りはまだかな」と思う感覚は、いつまでも生き残ってほしい。

― posted by 大岩稔幸 at 12:52 am

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